BLOGブログ
事業承継で失敗しないための方法と考え方について
①事業承継では、まず、○○○をするべき!
中小企業・小規模事業者の経営者、すなわち、オーナー社長もしくは親から引き継いだ会社の経営者で65歳以上となる人の割合は、、、
「全体の約4割」
になります。
多くの経営者が事業承継の問題にまさに今直面している、またはこれから直面するのではないでしょうか?
数年後、多くの中小企業が事業承継のタイミングを迎える中で、2018年(平成30年)には、事業承継税制が改正され、特例制度が設けられました。
事業承継をスムーズに進めるためには、親族内承継、社内承継、M&Aなどの形がある中で、最も適したものを選び、計画を立てて遂行させていく必要があります。
また、自社株の取得に伴う相続税や贈与税の負担、経営権(自社株)の分散リスク、事業承継後の資金繰りなど、様々な課題に対応していくことが求められます。
では、そういった環境下で、事業承継のためにまず取り組むべきことは何でしょうか?
それは、ずばり、、、
「後継者との対話」
です。
後継者との対話は、事業承継の構成要素の「人」の承継の部分に含まれます。
全体像からお話すると、事業承継の構成要素は、
1. 人(経営権、後継者の選定・育成、後継者との対話)
2. 物的資産(株式、事業資産、資金、証券、土地、許認可)
3. 知的資産(経営理念、経営者の信用、取引先との人脈、従業員の技術・ノウハウ、顧客情報)
の3つになります。
後継者として適任者がいる場合は、まずは、「人」の承継として対話を通じて、経営理念だけではなく、会社の歴史や想いをしっかりと引き継ぐ必要があります。
その上で、後継者が事業を引き継ぐことを承諾することが、事業承継の第一歩になります。
このプロセスをきちんと踏むことで、後継者にも会社を引き継いでいく意識が芽生えて、受け入れる心持ちが生まれます。
そして、その次のステップとして、経営課題の整理を行い、新「事業承継税制」の検討などを踏まえた事業承継計画の策定~実行といった具体的な方法を検討していくことが正しい事業承継のプロセス言えます。
②資産や経営権を伝えていくだけでは、、、
そういったプロセスを踏む理由としては、何代にも渡って事業を継続していく企業ほど、時代が変わっても受け継いでいく想いを大切にしている例が多くみられるからです。
つまり、次の後継者にバトンを渡すときには、資産や経営権のみならず、会社の理念や経営者の想いを伝承することが重要といえます。
現社長が後継者に対して、過去から現在までを振り返りながら、経営に対する想い、価値観、信条を再確認し伝えるプロセスは、事業承継の本質といえます。
また、企業理念や社是として想いを明文化し、共有・浸透すれば、スムーズに事業承継が進み、事業承継後も安定した経営を維持することができます。
③後継者が見つからないと?
ただ、「自分はまだまだ元気で仕事ができるから、次の後継者を決めていくのはまだ先でいい」という考えを持つ方もいるかと思います。
しかし、会社として存続できるにも関わらず、事業承継の実情に対する認識が不足しているため、取り組む時期が遅くなり後継者を確保できなかったというケースがあります。
なぜなら、後継者を育成する期間としては5~10年程度の期間が必要になってくるため、早期に着手していくことが重要だからです。
事業は継続できるにも関わらず、後継者が見つからないために、廃業する選択しか残らないとなってしまっては、これまで営々と経営する中で培ってきた貴重な経営資源を失ってしまうことになります。
また、事業承継が失敗したときの影響を理解しておく必要があります。従業員の雇用や得意先・取引先との関係性、銀行借り入れ等の資金繰りなど社長の家族(身内)だけの問題ではないということです。
事業承継を着実に進めるためには、早めの着手が肝心です。経営者の引退は70歳前後と言われているため、後継者の育成期間を考慮すると、、、
60歳頃には事業承継の準備を始める必要があります。
④ そもそも事業承継の形は3つしかない!?
いよいよ、事業承継について本格的に考えることになると、まずは、承継の形としてどういう承継のパターンがあるのか知らなければなりません。
基本的には、
「親族内承継」
「社内承継」
「M&A」
の3つの形のどれかになります。
⑤息子がいない、もしくは息子が会社を継ぎたくないなら?
では、息子がいない、もしくは息子はいるけれども会社を継がないという場合、どういった形で事業を引きつぐことができますでしょうか?
最初に考えられるのは、現在働いている従業員の中から、次の後継者を育てるという方法です。
多くの経営者は会社の中でのその業務に長けた財務部長、営業部長といった方に次の後継者になってもらおうという考えになりがちです。
しかし、現場の実務能力がそのまま経営者としての資質につながるわけではありません。
候補者に経営ビジョンを描く能力があるのか、事業を引き継いでいく覚悟や意欲があるのかを確認する必要があります。
さらに、少子高齢化やIT化など社会や経営を取り巻く環状に柔軟に対応しながら、事業を継続・成長させていける人材を後継者として選定しなければなりません。
⑥従業員に後継者になってもらうための高いハードルとは?
実際に社内幹部(従業員)に事業承継をする場合には、いくつかのハードルを越えていく必要があります。
まずは、本人に社長になる旨の了承を取り付ける必要があります。そして、その奥様にも了承を取り付ける必要がありますが、その奥様や親族が会社の借入金に対して責任を負いたくないという事で、反対されることがあります。
また、事業を完全に承継をしてしまうのか、もしくは将来は息子が社長になるまでの特定の期間だけの承継にするのか決める必要があります。
しかし、ここで問題になってくるのが、、、
「株の取得」
です。
株を取得するためにはそれなりの資金が必要になってくるため、幹部社員は銀行から借り入れをするなどして、買い取る資金を用意しなければなりません。
買取資金の準備が難しいという事になると、オーナー家が株をもって経営だけを任せる、いわゆる雇われ社長として、社内幹部は会社を経営することになります。
雇われ社長になるという事は株を持っていないため、いつでも解任されるリスクがあり、都合よくつかわれているという心情になりがちです。
このあたりのことを納得して引き受けてくれる、従業員を見つけていく必要があります。
⑦M&Aという選択肢
次に従業員への承継が難しい場合には、事業を存続させるためにはM&Aという選択肢が残ります。
このパターンの場合には、第三者へ事業を引き継ぐことになります。
これにより、従業員の雇用も守ることができます。
さらに、廃業・清算した場合の手残り金額を考慮してもM&Aで会社を残していく方がメリットは圧倒的にあります。
これまでのM&Aは「身売り」といったマイナスイメージがありました。
しかし、近年では、M&Aによる事業の維持や、譲受先の事業との融合による飛躍などを加味して事業承継の選択肢の一つとして考えられています。
⑧ M&Aのポイントとは?
M&Aの際に重要になってくるのは、企業価値を高める取り組みです。
しっかりと利益が出る体質を作り上げることで事業競争力が上がり、企業価値を高めると同時に、よい譲渡先へとつながることができます。
また、M&Aには専門的な知識やノウハウが必要です。
そのため、民間業者、銀行、士業の専門家に相談する必要がありますが、M&Aの手法や内容によって相談する相手が変わってくるため、経営者自身で考えを明確にしておく必要があります。
まとめ
いずれにしてもまずは、事業承継の形を決めていくことが重要になります。
すなわち親族なのか、従業員なのか、第三者(M&A)なのか
次の後継者を誰にするのかを決めて、合意をとることが、、、
「事業承継の初めの第一歩」
になります。
その過程で、会社の立ち上げから現在に至るまでの歴史、想いを振り返りまとめ、対話を行っていくことが重要となります。
つまり、、、
誰に事業を引き継ぐのか、事業承継の形をどうするのかここをしっかり押さえていくことが、事業承継の肝になってくると言えるでしょう。